創業者 ルードヴィヒ・モーゼル(1833~1916年)によって、1857年カルロヴィ・ヴァリに小さなガラス装飾工房を開いたのが「モーゼル」の始まりです。
カルロヴィ・ヴァリはチェコのボヘミア地方に位置し、18世紀頃からヨーロッパ中の貴族や多くの芸術家を魅了した温泉保養地です。
ルードヴィヒ・モーゼルは、エングレーヴァーであると同時に起業家としての腕を存分に振るい、1873年、ウィーン世界万国博覧会に出品し、皇帝フランツ・ヨーゼフから皇室御用達の資格を授かります。
ルードヴィヒ・モーゼルの長年の夢であった生地から装飾までの一貫生産ができるガラス製造工場がついに1892年に建設されます。各地から実力派の職人たちが集められ、世界最高峰の技術と芸術性を誇る工場の稼働が始まります。
19世紀末に巻き起こったアール・ヌーヴォー期に名声を高め、1900年のパリで行われた万国博覧会では、ペルシャの皇帝にも見初められ、その名を更に拡げることとなります。
ルードヴィヒ・モーゼルの後は、レオ、リチャードそしてグスターヴの3人の兄弟たちが受け継ぎます。
レオ・モーゼルは1920年代に、アレキサンドライトやトパーズなど宝石の名を冠する淡く澄んだ貴石ガラスの開発に成功する。
ファセットカット(平面カット)に代表される様々なカット技術と貴石ガラスを組み合わせることで、表現の幅をアール・デコやモダンスタイルへと発展させ、1940年、第7回 ミラノ トリエンナーレでは、グランプリを受賞。
2012年には、ルーカシュ・ヤブーレクが製作したPEAR<洋ナシ>が、チェコグランドデザインをはじめとする様々な展示会で賞を獲得。